2009年12月8日火曜日

アーキフォーラム2008-2009 第13回

2009年12月5日、TOTOテクニカルセンター大阪にて、アーキフォーラム開催されました。
2008-2009シーズン最終回となる今回は、ゲストに松岡聡+田村裕希の松岡聡氏。そして最終回という事で、今年の総括となるシンポジウムが行われました。


松岡氏のこの日のレクチャーを個人的にまとめてみると、
「言語」「プロセス」
この2つになるように思う。

まず、「言語」について。
モダニズム以降、建築は言葉の介入を許してこなかった。「建築は言葉で語らない」という傾向が強く、言葉を軽視してきたという背景がある。この傾向によって、形態重視の傾向が進んでいったのだろう。
建築家の思想が建築そのものの形態で表せなければならないといったような考え方に違和感を覚えていた私は、このような背景があった事を知り、納得がいった。

ただ松岡氏の語る「言語」というのは、「ルール」である。
「言語を使って何が出来るのかを考えるべき」「ルール(言語)を設定する事で、何が生まれるのかを考える」
この考え方には非常に共感出来る。建築を言葉で語る際、多くの場合は抽象的な表現に終始してしまう。 その曖昧さを無くし、明解な言語(ルール)で語る事が出来れば、一般の人にも伝わるし、社会へも伝える事が可能になっていくと思う。

建築を言葉で語る事の必要性は、近年建築家のレクチャーの場が急増している事にも見て取れる。これは建築関連メディアが見出し系に走りすぎた事も大きな要因となっているが、間違いなく建築を言葉で語れるということは、これから重要になってくるだろう。


次に「プロセス」について。
95年以後、プロセスやスタディ重視の傾向が強まっていった。とくに模型での。
しかし、模型がチェックのみになってしまっている事が多い事を氏は非常に残念に感じている。「模型で比較するときに新しい言葉が生まれる」という氏の言葉が印象的であった。
また、現在の建築の教育は、最終講評がメインになってしまっている事が問題であるとも。
これは私も前々から感じていて、学校単位での課題講評でもその問題はあるが、「せんだい」が出来た事によって、それはさらに加速してしまった。一位になる事、賞を取ることが、どれほどの意味を持つのだろうか。


シンポジウムでは、今年のアーキフォーラムの総括が行われた。
各回のレクチャーにキーワードをつけていた。
1、原理・生成
2、環境
3、インテリア
4、エクステリア
5、リノベーション
6、ローカル
7、制度⇔自由、空間生成
8、住宅、アイコン
9、日本(史)
10、ビヘイオロジー
11、履歴
12、コード

各回の講演については、アーキフォーラムのHPを見て頂きたいのだが、このようにキーワードを与えていくのは非常に分かりやすくて良いなと思った。建築を一言で表す事は非常に難しいが、上手くキーワードがハマった時には、非常に分かりやすく、比較し易くなる。

シンポの中で印象的だったのが、東工大の建築教育について。
東工大は、「論文の教育」を実践しており、「論文で言語の強化を行い、コンペで実践する」という方法。
「何をつくるかより、何を考えるか」を重視しているとのこと。

やはり、これからは「言語」「言葉」で建築を語り、伝える必要がある。
建築を社会に一般に開いていきたいと考える私には、非常に重要な課題。

ただし、言語やプロセスを重視するというと、よく「じゃあ形態やカタチには興味ないのか」と言う人が多いが、決してそうではない事をここに記しておこう。

今回のシンポは、「モノを創るのはそんなに難しくない。議論の場を続けていきましょう」という言葉で締めくくられた。


今年のアーキフォーラムは今回で終わり。
来年は「誰がために建築は建つか」といテーマで、満田衛資氏、山口陽登氏。








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