2009年12月5日土曜日

Book 22


「空間から状況へ -10city profiles from 10 young architects」(五十嵐太郎 編)

先日行われたArchitecture After 1995展のシンポジウムで、2000年に開催された空間から状況へ展との比較が多くなされていたので、理解を深める意味を込めて本書を読む事にした。

参加した10組の建築家を二組ずつに分け合計五回のシンポジウムをまとめた本。
参加した建築家陣はアトリエ・ワン、ファクターエヌアソシエイツ、遠藤秀平、西澤立衛、阿部仁史+小野田泰明、梅林克、クラインダイサムアーキテクツ、マツオカ・ワン・アソシエイツ、みかんぐみ、宮本佳明各氏。

各組に共通しているのは、「かたち」のみに拘るのではなく、今、社会で起きている事、その時の状況に反応したり、生かしたりしようとしていた事。
その思考の仕方は現在にも受け継がれている。
特に今回のAA95展に出展した建築家の方々は、新たな奇抜に形態のみを生み出そうとするのではなく、現在の社会状況の問題を指摘し、建築で解決しようとしており、共通点も見いだせた。

五十嵐太郎氏がAA95展のシンポジウムに於いて、「空間から状況へ展」に出展していた建築家とAA95展に出展していた建築家との共通点を指摘し(若干無理矢理な所もあったが)、何を受け継いでいるのかを提示しようとするのも理解出来た。

また11月14日のシンポジウムの締めくくりとして、「『空間から状況へ』の状況は今ますます加速している。それに対してこれからどう対応していくのかが重要」と話したdot architectsの家成さんの言葉も、この本を読んでこそ理解が出来た。

約10年前に行われた展覧会の内容を編集している本書であるが、現在においても充分理解出来るし\、参考になる内容となっている。
むしろ、10年経った今読む事で、10年前の状況と現在の状況を比較する事も出来る。
私個人の感想としては、10年前と今では建築を取り巻く環境は劇的には変化している訳ではない印象を抱いた。まさに、上記の家成さんの言葉にあるように、10年前の状況が引き続いていて、むしろ加速している。

10年前に建築家達が提示した内容が、この10年でどのような結果を得て、これからの建築家はどのような提示をしていくのか。
それを考える事は、非常に重要な事に思う。

0 件のコメント:

コメントを投稿