2009年11月13日金曜日

ARCHITECTURE AFTER 1995(4)


2009年11月8日、ARCHITECTURE AFTER 1995シンポジウムAが大阪工業技術専門学校で開催された。

テーマは「2000年以後を考える」。

プレゼンテータには、垣内光司氏、木村松本、SPACESPACE、dot architects。

パネリストに五十嵐太郎氏、モデレータにTEAM ROUND ABOUT。


この日は、ギャラリー駐在当番だった為、開始30分後に会場に到着。

またしても遅刻し、プレゼンテータの方々のプレゼンは聞けず。

なので、五十嵐太郎氏のお話から、私は聴衆と化した。


まず、2000年に東京・ギャラリー間で開催された「空間から状況へ」展のおおまかな解説。

(1)1960年代に登場したシチュァショニストと(状況主義者)との比較
(2)ユニット派の登場
(3)分かりやすく、非コンピューター的で、テーマに従順な展示


次に、シンポジウム当日AA95展を見ての五十嵐氏による分析。

・「プロセス」を重視している。
・同時にあり、影響(関係)しあう世界観。
・周囲にある環境に影響している。(←これは石上純也氏にも共通する)
・「関係性」に徹底している。
・「AA95展」と「空間から状況展」との決定的な違いは、展覧会を自主的に起こしていること。


次に、プレゼンテーターに対する五十嵐氏の分析。

・dot architects 「超並列」
  理論的には分かるが、具体的に見せるには何か仕掛けが必要なのでは。
  「空間から状況へ」での、みかんぐみの「非作家性」と共通するものがある。

・SPACESPACE 「ヒューマンスケープ」

・木村松本 「編集的経験」

・垣内光司氏 「メタ超並列、小さいこと、つながり」
  「空間から状況へ」でのアトリエ・ワンの「ペット・アーキテクチャー」的な展示。
  会場の条件が違っていれば、また異なる展示になっていたのでは。
  他との関係性を意識している事は、宮本佳明氏的。


五十嵐氏の分析を受けて、プレゼンテーター各氏とTEAM ROUND ABOUTによる分析。

・dot architects 「非作家的作家性、力強い造形」
  非作家的でありながら、建ち上がる建築は特色があるもの・作家性があるものを。ここが、みかんぐみとは異なる。

・SPACESPACE 「コンピュータ的建築」
  身体性を模索するような、具体的な条件をデザインに用いる。

・木村松本 「ミクロなコンテクスト、不完全性」

・垣内光司氏 「非造形的な強度、リアクション的」
  やり続ける事。スポーツにおける筋トレを続ける事で、非造形的な強度を得る事が可能になる。
  自分(垣内氏)には宮本佳明氏のような作家性(強度)はない。


締めくくりとして、五十嵐氏『「空間から状況へ」(2000年)では、95年以後の社会状況の変化がまだまだ見えていなかった。「AA95展」(2009年)は、95年以後の変化が見えてきている。この違いがある。」とした。


この後、会場への質疑応答に入る。

ここで会場から、社会学者の鈴木謙介氏による質問(解説)があった。

『繋がりが新しく生まれたように語られていたが、実はもともと繋がりはあった。

2000年代に入り、「つながると嬉しい」というものが出てきた。
          ↓
人と繋がる為のツール(通信など)が出てきたことで、「会えない人」(会いに行けば良いのに)と繋がる事で嬉しいと言い続けてきた。
          ↓
すなわち、一回分断した後で、繋げる事を言い続けてきた。


2010年代は、上記への批判として「プロセス」を見せる事になる。

つまり、0→1の「→」の部分に介入していく。
この「→」の部分を見せていく事になる。

ただ、「つながり」は新しく生まれたのではなく、元々「つながり」はあったではないか。』


時間の都合上か、鈴木氏の指摘に対する明確な返答はなかった。


このシンポジウムのまとめとして、五十嵐氏、藤村龍至氏からキーワードが出された。

五十嵐氏 「原理」「現象」

藤村氏 「設計」「運動」

そして藤村氏からは、次世代に向けたメッセージも。

「今は運動を立ち上げたもん勝ち。立ち上げて、周囲を巻き込んでいけば、東京も大阪も場所は関係ない。この運動に関わった以上、みなさんも運動(movemennt)を起こそう。周囲を巻き込みながら情報を発信していこう。」


今回のシンポジウムの個人的な感想としては、もう少しプレゼンテーター各氏の設計プロセスに対する考えを深く聞いてみたかった。また、それに対する五十嵐氏の批評、指摘なども。
会場の聴衆には学生も多かった為か、「空間から状況へ」展の内容をイマイチ把握しておらず、話の内容を理解しづらい場面もあったように思う(私を含め)。

やはり、シンポジウムや講演会に参加する際は事前の予習が必要です。
予備知識があると無いとでは、理解が大きく変わってくるはず。










  
 







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