2009年11月21日土曜日

book 21














「建築と日常 No.00」(長島明夫 編


「建築にしかできないこと」をテーマに、香山壽夫氏、坂本一成氏のインタビューを中心に構成されています。

個人的には、香山氏と編集者である長島氏との対談の方が興味深かった。

特に「建築と宗教の関係性」についての香山氏の言及は興味深い。

…僕たちはどこかで分かり合えるということで動いている。建築は結局ある段階では自分個人の作業としてしかできないわけで、そこを通してでも最終的にはもう一度、人間に共通というところに繋がるはずだという強い信念、時には消えかかる希望だったりするのだけれど、それを最後まで捨てない。それが、想像というのが基本的に宗教的行為であることを示しています。

歴史と伝統以外に人間を共同に支えるものはない。と言うよりも、歴史は「もの」として客観的に存在しているのではなく、人間の共同性が捉え直したものに他ならない。」


香山氏、坂本氏の他にも建築家や建築以外の著名な方からのメッセージ的な、テーマに対する解答が掲載されているが、どの文章も「建築にしかできないこと」というテーマに対して、明解な解答はないように思われる。

鈴木恂氏は「…建築にしかできないこととなると、相当強引に言い切らねばならない。…」とも言っている。

という事は「建築にしかできないこと」というのは、建築に長年携わってきている方々でさえも、そう簡単に答えられる問題ではないようだ。

むしろ、その答えを探し続けて建築と向き合っていくしかないようにも思えてしまうテーマだと感じた。

そういうテーマを投げかけ、問うていくこの本は非常に面白いと思う。




0 件のコメント:

コメントを投稿